【肩こりについて】
〈解説〉
日本人の女性の、自覚症状の第一位はこの『肩こり』です(厚生労働省;国民生活基礎調査・2013)。もとまち整体院でも、統計の通りに自覚のあるのは一般的に女性のほうが多く、肩こりの自覚ないままで肩が凝っているケースは、男性のかたに多いですね。
いわゆる筋骨隆々タイプの男性では、頭部の重量(結構個人差があり、4~6㎏といわれます)を支えることが、さほど首や肩の周りの筋肉に負担を掛けにくいのかもしれません。
なぜ(首)肩こりが発生するのでしょうか。上で述べたように、まず頭部の重量の関係があります。細い首の上に、4~6㎏もの重さのもの(ボーリングの球くらい)が載っているわけで、その重さを支える首や肩の筋肉が、たえず負担にさらされているといえます。
デスクワークや勉強に代表されるような頭部の前傾姿勢が、それにさらに拍車を掛けます。もとまち整体院に来院されるかたでは、ほぼ毎日のように、デスクワーク時に数時間も座り続けてPCを使っているという人もいます。それに加えて、近年はスマートフォンやタブレット等の普及により、さらに首や肩の負担は増えやすいといえます。
頭部前傾姿勢の、しかも長時間の継続は、確実に頭部を支える首肩周辺の筋肉・筋膜を硬くしていきます。長時間持続する姿勢では、血流も低下し、筋肉や筋膜の中に硬結を生じます。これがトリガーポイント化(※)すれば、そこからの関連痛が発生してきます。(※別項『トリガーポイントセラピー』をご参照ください)
首や肩のこりから、頭痛や目の奥の痛み、背中の痛み(あまりひどい肩こりがあると、背部痛とともに上背部の筋を「攣(つ)る」ケースもあります)、歯痛、肘・腕・手指の痛みやしびれといった症状につながることも、よくあります。これがトリガーポイントによる関連痛の典型です。もとまち整体院では、この【トリガーポイント】に注目し、施術を行なっていきます。
なお、40代~50代に見られる五十肩の症状も、慢性的な肩こりがそのベースにあり、その痛みの多くは関係する筋筋膜のトリガーポイントからの関連痛によるものと考えられます。『たかが肩こり』と軽くとらえずに、日頃からの肩こりケアを大切にしていきたいところですね。
〈施術〉
肩こりに対して、もとまち整体院では関連する筋肉中心に、その筋緊張を解除する施術(トリガーポイント・セラピー)を行ないます。具体的には、僧帽筋、頚板状筋、菱形筋、棘上筋、棘下筋、肩甲下筋等にアプローチし、広くトリガーポイントを探っていきます。
さらに、筋肉の硬さによって可動性を低下させている関節についてのアプローチを、行ないます(関節の矯正:CMT)。関節の固着化(フィクセーション)を、解いていきます。
筋肉の緩和操作とともに、可能かつ必要と判断される範囲で、可動域が狭くなっている関節を矯正します。関節の矯正には、関節可動域の拡大、自律神経のアンバランスの是正、痛みの閾値の適正化、等のメリットがあります。
※この関節操作において、いわゆる『パキッ』という音がすることがあります。キャビテーションといって、骨の鳴る音ではないのですが、この音が鳴るのがどうしても苦手な方や、低年齢、高齢の方等には行ないませんので、ご安心ください。
〈アフターケア〉
肩こりの原因としては、精神的ストレスや運動不足、寒冷刺激等も挙げられます。もとまち整体院では、こうした原因も踏まえ、あなたに肩こりをもたらした真の原因を一緒に探り、生活スタイルや身体の使い方のクセを見直し、アドバイスを行ないます。
たとえばPC作業が多い職場でお仕事をなさるあなたには、その場ででも行えるようなストレッチをご指導します。職場や家庭で簡単に行えるストレッチであってこそ、手軽に継続していただけるものと考えているからです。
もとまち整体院では、あなたの姿勢について、施術の前後比較の手法等も用いてチェックいたします。たった一つの『理想の姿勢』があるわけではありませんが、理想『的』な姿勢のモデルを提示することで、ふだんの自分と異なる『あなた本来の』自然な姿勢が取れ、症状の繰り返しを防ぎます。
〈症例報告〉
①【肩甲骨周辺の痛みと肩こり】【59歳 男性】
数年来、頚や肩の凝りの自覚はあったが、その都度マッサージに行ってほぐしてもらいつつ、 これまでは対応してきましたというHさん。1週間ほど前から、頚の下部から肩甲骨付近に疼痛が生じ、 仕事にも差し障りが出てくるなか、ホームページを見て当院に来院。多いときで月に4回ほど行く というゴルフも、この痛みと夏の猛暑とで、最近は控えているという。
姿勢を見てみると、腰椎の前わんが強めのいわゆる『反り腰』であるが、上半身はというと、肩の 前方への突出(『肩猫背』)でもなく、むしろ胸のそりが強い『軍人姿勢』気味である。この 『軍人姿勢』は、一見良い姿勢に見えるが、腰椎の前彎が特に強くなりがちで、股関節の屈筋群 が短縮しやすい(大腿直筋等に痛みが出ることもある)といわれる。
今回の痛みが出てから、まず整形外科での頚肩部のレントゲンでは異常がなく、さらに3ヶ月前の 頭部MRIについても、異常はなかったとのこと。 肩関節の可動性を見てみる。屈曲・伸展・外転・内転、そして水平屈曲・水平伸展の各動きにおいて、 格別の可動性の低下は見られない(自動・他動運動とも)。
ただ、運動痛については、頸椎の 右側屈・伸展位において、僧帽筋上部から肩胛骨内側にかけての筋肉に疼痛が生じるとのこと。 肩甲骨の動きに関連する、肩甲挙筋と菱形筋を圧してみると、かなり圧痛があり、肩関節周辺の 筋群や後頭下筋群も、硬く触れるポイントが多いことがわかる。
トリガーポイントセラピーで、 こうした筋硬結やトリガーポイントを、丁寧に検索し解除していく。胸椎レベルの関節可動性を 回復すべく、胸椎の関節操作も併せて実施。
エクササイズとしては、『肩回しエクササイズ』、大胸筋のストレッチ等を指導。『今後も 末永く、ゴルフを楽しんだり、痛みから回復した良い状態を維持するするためにも、定期的な 通院とともにこうしたストレッチ等も、続けて下さい』と、アドバイスさせていただいた。
一日おきに2回施術を行ない、その後2日空けて3回目の施術時には、『前回施術のあと少々、 聞いていた「もみ返し」のような痛みかな、肘近くにピリッとくるような感じがありました』 とのこと。『ただ、そこはすごく痛いわけではなく、(患部の)肩甲骨周辺の痛みじたいは、 もうほとんど気にならないくらい、なくなりました』との感想をいただいた。
さらに3日後、4回目の施術時には肘の痛みもなくなり、肩甲骨周辺の痛みも無い状態が続いている、 とのことであった。『ここで油断して、(当院に)来なくなってはいけないんですよね(笑)』 と、本人にもメンテナンスの重要性が理解いただけている模様。
【担当者からのコメント】 Hさんの場合、ゴルフで適度に身体は動かしてきてはいるものの、それ以外で多くの時間を 過ごすデスクワークでの長時間の坐位と頭部の前傾姿勢の継続とで、頚や肩関節周辺の筋群が萎縮し トリガーポイントを生じるまでになったことが、今回の痛みにつながったといえます。
デスクワークそのものは今後も当面続きますでしょうし、エクササイズのみで除去できない部分の 筋肉の凝りや、関節の動きの低下については、引き続き当院にてメンテナンスとしての施術で お手伝いできれば幸いです。
②【左腕のしびれ、右腕の痛み】【 60代の女性】
60代女性のケース。1ヶ月前から、日により強弱の違いがあるが左上肢(肩甲部から手根にかけて)にしびれあり。その後、2週間前からは右肩甲骨周辺から肘にかけての鈍重感と鈍痛が発生している、とのこと。 問診のためにただ坐位でいるだけでも、右腕が動かしにくいほどの痛さに、顔色が良くないほどです。当整体院へは、看板を見て来院。
【初回施術時】
左右ともに、肩甲骨周辺の筋肉にTP(トリガーポイント)が多く認められる。ジャンプサインあり。頸椎の可動性については特段の制限なし。腹臥位の状態でのトリガーポイントセラピーで、脊柱起立筋、菱形筋、棘上、棘下筋、板状筋、僧帽筋等々、関係の諸筋群のTPを解除すべく施術。
本人曰く、(肩甲骨周辺のTPに触れると)『そこを触られると、まさに肘先まで痛みが飛び始めます』とのこと。 『痛みの飛んでいるその元となっているココを、トリガーポイントと言いまして、飛んでいる先つまりこの場合の肘周辺を「関連痛域」と呼びます。』と、私。
『痛みやしびれの元は骨とか神経とかではなく、筋肉にあることが多くて、トリガーポイントを解除していくことが、「飛んでいる先」の痛みやしびれの改善・解消につながるのです』と説明。 ホームエクササイズをアドバイス。
長時間に及ぶ前傾の姿勢は首肩の筋肉にTPを作り、関連痛としての痛みを腕のほうまで飛ばしているのが今回の痛み・しびれの主因と考えられる(術後は、痛みもしびれも消退している)。
【施術2回目~4回目】
集中的にトリガーポイントセラピーを患部(と考えられるTP)に実施。2回目の施術に来院時、まず右腕の痛みがほぼ解消。4回目の施術は初診から1週間後でしたが、左腕のしびれについても好転し始め、だいぶ楽になったとの感想をいただいた。
この間、新幹線で旅行に行ったが両腕とも調子は良く、来院前と比較にならないほど腕が軽い、とのご感想も。
【担当からのコメント】
Pさんは3、4年前までは身体に何の不調もなかったそうです。お孫さんの出生後、抱っこする機会も増え、机の上で行なうというご趣味ともども、前傾の姿勢が増えてきたことは、今回の症状の一因となっているでしょう。
首や肩のコリからくる緊張型頭痛も時に生じていましたが、当整体院のトリガーポイントセラピーで首や肩の筋肉を緩和していくなか、ほとんど出なくなりました。 ただ、目先の痛みやしびれは放って置いても一旦は治まる、大切なのは今後のケアの継続と姿勢の改善ですよ、と強調させていただきました。
※施術効果には個人差があります。